【事例紹介】振動測定器・振動センサーの効果的な運用
■ 増えている「導入」、追いついていない「運用」
ここ数年、小型で安価な振動センサーが工場に急速に広がっています。
以前は高価な測定器と専門知識がなければ手が出せなかった振動診断が、今では手軽に自分たちで測定できるレベルまで身近になりました。
その一方で、私たちが工場から受けるご相談には、こんな声が目立つようになっています。
「振動測定器を購入したが、どの設備でどう測定したらいいのかわからない」
「振動データは毎日たまっているが、そのデータの読み方がわからない」
「振動センサーを付けたのに、異常が検知されないし、よくわからない」
センサーそのものは優秀でも、「どこを測るか」「数値をどう読むか」「社内の誰がどう運用し続けるか」という仕組みがなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。振動診断は、数か月から年単位で運用し続けることで、はじめて成果につながるものです。
■ 振動診断を「自社で回せる」ようにする発想
そこで私たちが行っているのが、振動センサーの種類やメーカーを問わない、振動診断の「運用支援」です。振動センサーや測定器を販売するのではなく、現場に同行して測定設備や測定箇所を一緒に決め、基礎知識を教育し、データが出た後も「読み方」に伴走します。ゴールは、外部に頼り続けることではなく、自社の中で診断のサイクルを回せる状態をつくることです。
実際にどのような支援をしているのか、3つの例でご紹介します。
■A社:測定箇所の選定・現地同行支援
振動測定器のメーカーから営業を受けて、振動測定を試してみたけど、なにをどう見ればよいのかわからない、というご相談でした。
振動診断には、故障の予兆を把握しやすい設備と、そうでもない設備があります。また、故障すると影響が大きい設備と、対応可能な設備があります。これらを考慮して、適正な測定箇所に振動センサーを取り付けることが求められます。つまり、測定箇所の選び方には一定の「基本ルール」があります。そのルールから外れた箇所を測定していると、設備の異常に気づけない、というトラブルが起こります。
そこで私たちは、過去のトラブル履歴や設備構造を考慮して、優先して測定すべき箇所をリストアップしました。また、測定点を現場に表示し、リスト化して、継続して振動診断を行える環境を整えました。これにより、測定器による測定・運用を効率よく行え、設備異常の早期発見にもつながりました。
その結果、約100箇所を1年間にわたって効率よく測定・管理できるようになりました。その過程で4箇所の設備異常を早期に発見し、故障に至る前の対応につなげることができました。

■B社:異常の兆候を見逃さない月次管理の仕組み化
複数箇所に取り付けた振動センサーのデータが溜まるだけで、異常の兆候を見つけられていない、というご相談でした。
そこで、これまでに蓄積された振動値の推移を確認し、設備ごとに注意値・危険値を設定しました。さらに、管理値を超えた設備を一覧で確認できる定期報告書の様式も作成しました。
その結果、管理値を超えた設備をすぐに把握できる状態になりました。実際に、重要設備の1台で異常を検知し、現場点検で原因を特定、計画外停止に至る前に計画補修を実施できました。
■C社:振動診断の基礎教育
最近、展示会で振動センサーをよく見るが、使い方がわからない、というご相談でした。
話を聞いてみると、社内で振動診断がわかる人を育てたい、自分たちで振動を理解した状態で設備投資を行いたい、というご要望でした。
そこで、3時間の振動診断勉強会を実施しました(設備関係部署の8名が参加)。メーカーのデモや展示会ではわからない「振動とは何か」「センサーはどこに、どう取り付けるのか」「どんなセンサーを選べばよいか」「振動データはどう読むのか」という内容を関係者で共有しました。
研修後には、自社設備への適用方法を具体的に検討できるようになり、振動センサーの導入を社内で提案していく方針となりました。
■ まとめ
3つの事例に共通しているのは、振動測定を導入して終わりにせず、異常の早期発見につながる運用を自社内に定着させる、という考え方です。
私たちは、以下のようなことを組み合わせながら、振動診断の運用支援を行っています。
・振動測定器・センサーの選定
・測定対象とする設備、測定箇所の検討
・基礎教育
・データの定期確認
・振動値の変化を把握しやすくする簡易ツールの作成
センサーの種類やメーカーは問いません。導入前のご相談から、導入後の「使いこなせていない」というお悩みまで、お気軽にお問い合わせください。
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執筆 保全ラボ編集部
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