第14回 振動センサーは現場の負担を軽減するか?! (前編)
TBMからCBMへ
第12回のコラムでは、時間基準で整備を行うTBM(Time Based Maintenance)は有用ではなく、むしろ過剰保全や保守故障(いじり壊し)を招くリスクがあることをお伝えしました。
いまだにTBMの保全方式を主に行うことを是とした保全活動をしている工場も多いようですが、実際にバスタブ曲線に当てはまる設備はごく一部に過ぎません。
では、より合理的な保全方式とは何か。
その答えのひとつが「CBM(状態基準保全)」です。設備の状態をデータ解析によって状態を把握し、異常の兆候が見えた時に整備を行う方式は、突発的なトラブルを減らす方法として有用とされています。
ここで注意してほしいことがあります。世間では「AIやIoTでCBMを導入すれば大幅に省人化できる」といった説明も見かけます。しかし、これは少し誤解を招く表現だと思います。そこで、今回のテーマは、このCBMの「有用性」と「限界」を整理し、CBMの代表的な手法である振動センサーの現実的な役割を考えていきます。
突発事後保全を減らす目的
事後保全には、あらかじめ故障してから対応すると決めている計画事後保全と、予期せぬトラブルにその場で対応する突発事後保全があります。
その中で、突発事後保全は、生産ラインの停止や不良品の発生、納期の遅延などを招き、ときには数千万円規模の損害につながる大きなリスクを抱えています。
さらに顧客からの信頼を損ね、現場の士気を低下させる要因にもなります。そのため、設備保全においては「突発停止を最小化する」ことが大きな目標とされています。
予防保全としてCBMを行う意義
この目標を達成するために用いられるのが予防保全です。従来はTBM(時間基準保全)が中心でしたが、設備や部品の寿命にはばらつきが大きく、複雑な構造をもつ機械では必ずしも効果的ではありません。そこで有効されているのがCBM(状態基準保全)です。振動や温度などをセンサーで常時監視し、異常の兆候が確認された段階で整備を行う仕組みにより、最適なタイミングでの対応が可能となります。これにより保全のコストを低減しつつ、突発停止のリスクを大幅に下げ、生産の安定性を高めることができます。
振動センサー導入のメリット
CBMの中でも最もよく使われるのが振動診断です。モーターやポンプ、ファンなどの回転機械は、摩耗、アンバランス、芯ズレといった劣化が振動として現れるため、振動測定は設備の健康診断にあたります。
この振動センサー導入には、次のようなメリットがあります。
①過剰な分解整備を減らし「いじり壊し」のリスクを下げられます(※第11回、第12回のコラム参照)。必要な時に必要な整備を行えるため、不要な分解作業によるトラブルの誘発を防ぐことができます。
②突発停止のリスクを下げられる安心感です。異常兆候を事前に把握できれば、突発停止前に計画整備に切り替えることができます。
③データの蓄積によって設備ごとの劣化傾向が明らかになり、保全計画の精度が上がります。勘と経験に頼らず、数字で説明できることは現場の納得感を高めます。
※本記事は大阪府工業協会機関誌に掲載された内容を再編集したものです。
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執筆 保全ラボ編集部
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