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第3回 設備は「壊れた」? それとも「壊した」?(前編)

設備は「壊れた」のか?

前回までの2回は事後保全のうち、緊急保全は避けるべきであり、予防保全を活用して突発の故障を防ぐことが重要であるという話をしました。

設備のトラブルが発生したとき、多くの人は「設備が壊れた」と考えるようです。保全ラボは、設備の故障をどのように捉えるかによって、その後の対応や設備管理の意識が大きく変わると考えます。

私たちが工場の方に対して、設備を壊さないように管理することができるという話をすると、机上の空論である、機械は壊れるものだ、保全の計画は立てるだけ無駄、などのコメントが返ってきます。なぜ、そのような反応になるのでしょうか?

今回は、設備故障の5大要因と壊さない活動として計画保全の有用性についてお話します。

 

設備の故障と向き合う

これは、とある生物系の大学教授の話です。教授が学生に微生物の培養をさせたとき、日本人の学生は培養に失敗すると「(微生物は)死んじゃいました」と報告し、中国人の留学生は「I killed it.(私がそれを殺しました)」と報告したそうです。

事象は同じですが、日本人の学生の言い方だと、微生物は自然に死んで、まるで自分に責任がないような言い方であるのに対し、留学生は自分の行動が原因で微生物が死んだという言い方です。この話は言語の特性上の違いとして紹介されましたが、私たちはこの話を聞いて、設備の故障に対する姿勢を想起しました。

多くの現場では「設備が壊れた」と言いますが、実際には人が設備を使用して壊しているのです。つまり、設備は勝手に「壊れる」のではなく、人が使って「壊した」と考えることが正しいのです。

 

設備を壊す5大要因

設備が故障する理由は、その要因は様々です。しかし、代表的な要因は5つと言われています。ここでは、5つの要因とその事例を紹介します。

 

①基本条件の通りに使えていない

潤滑(油を差すこと)や締結(ボルト・ナットを適切に締めること)など、機械を正常な状態に保つための基本的な作業が、きちんと実施できていない状態を指します。

【事例】ある工場では、設備に潤滑油が入っていない状態で使用したため、ベアリングが焼き付き、設備が停止する事態が発生しました。

 

②設備の使用条件が守られていない

操作ミスや過剰な負荷がかかる条件で設備を使うことです。

【事例】製造ラインのコンベアが急停止を繰り返すことで、モーターやブレーキに過度な負荷がかかり、通常よりも早く劣化が進みました。

 

③劣化状態を放置している

損傷部位をそのままにして、設備を稼働させることです。劣化の進行に気がついている場合もあれば、故障するまで気が付かない場合もあります。

【事例】ある食品工場では、ステンレス製の配管に小さな亀裂が発生していたが、運転に支障がないため放置されていた。結果として、亀裂が拡大し、最終的にはライン全体が停止する大規模な修理が必要になりました。

 

④設計に弱点がある

要求能力に対して、もともとの設計に脆弱さがあることによる故障です。導入当初は適合していても、製造レシピなどの変更により、弱点箇所が変わることがあります。

【事例】ある自動車部品メーカーでは、機械の特定のギアに過大な負荷がかかる設計だったため、ギアの摩耗が早く進み、頻繁に交換が必要になっていました。この問題に対し、設計変更により負荷分散を行うことで、寿命を大幅に延ばすことができました。

 

⑤保全技能が不足している (設備を正しく扱うための作業力が不足している)

保全活動を行う担当者の基本的な作業スキルもしくは行動の徹底が不足しているなどです。

ここでいう保全技能とは、設備の点検、整備、調整などを行う現場力のことです。

【事例】保全作業で、カップリングボルトの締め付けトルクが不十分であったため、振動により緩みが発生しました。その後、緩みの影響により設備が故障し、整備が必要になりました。対策として、適切な教育を実施した結果、同様のトラブルは発生しなくなりました。

これらの5つの要因はいずれも、人の行動・活動によるものです。つまり、人が適切に行動・活動することで故障の発生要因は低減し、故障が発生しなくなるということです。このような見方に立つと、適切な活動ができていない工場での設備故障は、自然発生的な偶然の事象などではなく、必然と捉えることができます。

 

※本記事は大阪府工業協会機関誌に掲載された内容を再編集したものです。

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執筆 保全ラボ編集部

設備保全への正しい認識と現場で役立つ実践的なノウハウを保全コラムにて提供しています。最新の設備保全情報・トレンドを継続的に発信することで、設備保全業界の皆様にとって良い情報入手の場になることを目的としております。

また、保全ラボの提供する設備保全へのコンサルティング・業務改善・教育についてご紹介します。