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第9回 たかが潤滑、されど潤滑 実は難しい潤滑管理(前編)

潤滑管理は設備管理の基本!

 

皆さんは、「潤滑管理」と聞いてどんな印象をお持ちでしょうか?

「潤滑管理は基本」「ちゃんとできている」と言う方も多いと思います。しかし実際には、潤滑管理が原因で生じる設備トラブルは意外にも多く、特に突発故障が多い現場では無視できない重要課題なのです。

今回は、保全ラボのスタッフの体験も交えながら、潤滑管理の重要性について考えてみたいと思います。

 

忘れられない潤滑体験

 

あるスタッフが設備管理員として工場勤務を始めた1年目のことです。製造から「設備が異常に熱くなっている」との連絡を受けて、先輩と現場に急行しました。

先輩は発熱している設備をしばらく確認すると、おもむろに設備の給油口の真下に容器を置いてオイルをジャージャーと抜き始めたのです。その後、設備の異常発熱は速やかに解消されました。

実は前日、異音がしていたために製造担当の方がオイルを追加していたのです。その量が適切ではなく、かえって設備異常を引き起こしたのです。

この経験は、人から聞いただけの知識と実地での違いと潤滑管理の奥深さの実体験として、今でも強く印象に残っているそうです。

 

統計でみるトラブル要因

 

潤滑剤には大きく分けて2種類あります。液体状の潤滑剤のことをオイルといい、半固体の潤滑剤のことをグリスと言います。オイルは循環させることで冷却や洗浄の効果を発揮しやすい一方、密封性が低く漏れやすいという特徴があります。グリスは半固体状のため、その場にとどまりやすく密封性に優れる反面、熱を逃がす効果はオイルほど高くありません。用途や設備の特性によって、どちらを使うか、どれだけの量を入れるかが変わってくるのです。

そのスタッフが言うには、職業として設備管理を担うようになるまで、機械にとって十分な潤滑剤は常に有用だと思っていたそうです。潤滑が不足すると摩耗や故障が起こるからです。実際、潤滑不良による設備トラブルは、機械トラブルの約25%を占めると言われています。

では、潤滑剤は十分に入れておけば良いのか、というとそうではなく、多すぎる潤滑剤は、温度上昇、オイルやグリスの漏れ、劣化などのトラブルの要因となります。

そのスタッフが設備管理員1年目に経験した設備の異常な温度上昇は、潤滑油の入れ過ぎによりオイルをかき回す抵抗が増えたために、オイルの発熱を引き起こしていたのです。

つまり、オイルやグリスの管理は「適量」を維持することがとても重要なのです。

オイル潤滑の場合は、オイルゲージ(油量を確認する窓・目盛り)でオイルレベルを確認します。一方、グリス潤滑では、ベアリングの空間容積に対して30〜40%、ハウジング(軸受けを収める機械部品)の空間に対しては30〜60%のグリスを充填するのが適切とされています。

 

潤滑の役割は7つ

 

ここでは、設備管理における潤滑油の役割を紹介します。

(1)減摩作用: 油膜形成で摩耗を減少させる
(2)応力の分散: 金属同士が点で接触させないように接触面の応力を分散する
(3)冷却作用: 摩擦熱を除去する作用がある

この効果は潤滑油の粘度が低く、サラサラ状態のほうが高い

(4)洗浄作用: オイルを流動させ機械内部を清潔に保つ
(5)錆び止め: 表面を保護し錆びの発生を防ぐ
(6)動力伝達: 油圧システムなどで動力を伝達する
(7)密封: 気密性を保つためシリンダーなどの隙間を埋める

 

※本記事は大阪府工業協会機関誌に掲載された内容を再編集したものです。