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第10回 たかが潤滑、されど潤滑 実は難しい潤滑管理(後編)

潤滑管理に潜むムダとリスク

 

生産設備の使用において潤滑管理の重要さは広く認知されています。しかし、大事な業務であっても、そこにムダを発生させて構わないという理由にはなりません。

 

ここでは、潤滑管理でよく見られる活動と、その活動に潜むムダとリスクをオイルの「購入・保管」と「日常の管理」のシーン別で整理します(表)。

 

(表)シーン別に見られるムダやリスク

項目 内在するムダやリスク

・製造ラインや製造課などの

単位でオイルを購入している

・設備台数に対し油種数が

多すぎる

・管理ミスのリスク

・誤使用のリスク

・購入費のムダ

・管理工数のムダ

・予備設備のオイルが適切に

保管されていない

・予備機の劣化、故障のリスク

・毎日グリスアップしている ・設備の損傷リスク

・作業工数のムダ

・購入費のムダ

・使用中のオイルの品質管理

(変色、水混入)が不十分

・設備の能力低下による

品質不良のリスク

・潤滑性能低下による

故障や劣化のリスク

・潤滑に用いるグリス注入

工具、オイルジョッキ、

グリス注入口の清掃が不十分

・設備への異物混入による設備の

故障や劣化のリスク

 

次の節では、潤滑管理の業務品質と経済性を実現する具体的な方法を3つ紹介します。

 

方法1:必要に応じてオイル交換を実施する

 

劣化したオイルを使い続けていると、設備のトラブルや寿命を低減させる要因になります。そのため、オイルは定期的に交換することが望まれます。オイルの交換は経済性を考慮して次のように行う方法があります。

 

・大型な油圧設備などでオイル量が多い場合は、オイル分析によりオイルの劣化具合を見て、オイルの交換時期を判断する

・油量が少ない場合や設備の特性上、オイルの劣化が必至の場合には、定期的に交換する

 

大切なことは、劣化したオイルのままにしない、ということです。オイルの管理や購入の費用を節約した結果、設備そのものを壊したり、無用な品質リスクを生じさせたりすることは、現場にとって良いことはありません。

 

方法2:油種を統合し、購買を一元管理する

 

潤滑管理の方法を少し工夫するだけで、工場の経営を早期に向上させることができます。その方法は、潤滑に用いる油種の統合です。やり方として、以下の2つの方法があります。

 

・オイルメーカーを統一する

・使用する粘度番号を減らす

 

設備は、使用条件によって使う潤滑油の粘度(オイルのねばり具合を表す数値)が異なります。たとえば、高速で回転する設備や気温が低い環境では粘度の低いオイルが、逆に高負荷・高温の設備では粘度の高いオイルが適しているとされます。そのため、設備ごとに細かく粘度番号を使い分けているケースが多く見られますが、実際には多少の余裕を持たせても性能に大きな支障が出ない場合も少なくありません。使用する粘度番号の種類を絞り込むことで、管理するオイルの銘柄数が減り、購入・保管・管理にかかる手間とコストを削減できます。

 

一般的に、設備メーカーから指定された油種を購入していると管理する油種(オイルの種類・銘柄)が増えます。また、部門単位でオイル購入をしていると購入単位が小さいために購入費用が割高になります。油種統合は、オイルの管理と購入のコストの削減にとても有効です。ぜひ、潤滑管理の見直しの際に検討してみましょう。

 

方法3:潤滑管理を部署横断で実施する

 

潤滑管理を1つの部門だけに任せず、複数の部署で実行することは、業務品質の向上に役立ちます。例えば、3つの部門で担当する場合は以下のような「実行する部門」と「チェックする部門」の役割分担は、業務の相互確認ができます。

 

・X部門は潤滑管理の給油の油種や頻度などの管理表を作成し、Y部門はその管理表の妥当性をチェックする。

・Y部門は給油作業に関わる安全や作業の効率性を改善するための設備改良を担当し、Z部門は給油環境をチェックする。

・Z部門は給油作業を担当する。X部門は、定期的に潤滑状態をチェックする。

 

潤滑管理は「たかが潤滑」と軽視されがちですが、設備保全の本質を支える「されど潤滑」としてその重要性を再認識し、着実に取り組んでいただければと思います。

 

※本記事は大阪府工業協会機関誌に掲載された内容を再編集したものです。